月曜日 ー考察ー
今日はamazarashiの楽曲「月曜日」を考察する。
ちょうど今日が月曜日なのと、
リリースされて間もないわりに、カラオケ「JOY SOUND」では
すでに配信されているのを先日たまたま発見して、個人的にもタイムリーかつホットな楽曲だ。
この曲を今日、考察しない手はない。
この楽曲はamazarashiが阿部共実の漫画「月曜日の友達」との
コラボレーションにより誕生した楽曲である。
経緯は公式サイトよりそのまま以下に抜粋する。
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「このマンガがすごい!」をはじめ数々の漫画賞を受賞した
阿部共実の最高傑作『月曜日の友達』。
週刊ビッグコミックスピリッツ編集部は、完結となる2巻発売にあわせ、
プロモーション映像の制作を企画。
阿部共実が心頭しているバンドの一つamazarashiに過去楽曲の使用をオファーした。
前作『ちーちゃんはちょっと足りない』のファンでもあった
amazarashiの秋田ひろむは『月曜日の友達』を読み、
「すごくいい話なんで過去の曲じゃもったいない。新たに書き下ろしますよ」と逆オファー。
秋田ひろむは、わずか1週間でデモを完成させた。
デモを聴いて感動した阿部共実は、楽曲からインスパイアされ、
Music Video用に『月曜日の友達』の新エピソードを書き下ろすことに。
マンガとロックのシナジーから、これまでにない新しい楽曲「月曜日」が生まれた。
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ということで、僕も早速「月曜日の友達」を購入、熟読するに至ったわけだが、
楽曲の世界観と漫画の世界観、それぞれに通じるものがあり、
なかなか面白かった。
もし少しでも興味があれば、漫画を読むことをお勧めする。
その方が何倍も楽曲の良さを深めることができると思う。
「月曜日の友達」は小学校から中学校へ進学した登場人物たちが織りなす物語であり、
楽曲でも学校での情景描写など世界観を引き継いでいる。
子どもから、大人になる中で、僕たちが得るものと失うもの、それはなんなのだろう。
早速考察していこう。
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体育倉庫の 黴びたウレタンの匂い
コートラインは僕等を 明確に区分する
渡り廊下で 鳩が死んでた
いつもより余所行きな 教科書の芥川
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体育倉庫ではウレタンのマットがカビついた匂いを放っている。
コートラインは、僕ら一人一人を明確に区分しているように引かれているし、
日によっては鳩が渡り廊下で死んでいたりする。
教科書に載っている芥川龍之介の作品は、どうも耳に馴染まない。
見慣れた光景、ここは中学校。
僕らが生活する、あるいはしていた、馴染み深いはずの場所。
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支柱に縛られた街路樹 まるで見せしめの磔
好きに枝を伸ばしたいのに 同じ制服 窮屈そうに
右向け右で左見て 前倣えで列に背を向け
救いなのだ その幼さが
君だけは大人にならないで
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街路樹が支柱に縛り付けられている。
まるで罰を犯した罪人を貼り付けて晒しあげるかのように立ち並ぶ。
木々は好きなように枝を伸ばしたいだけだろうに、なんとも窮屈そうだ。
なんて思う僕らも似たように、
みんな揃って同じ服を着ている。
制服、運動着、ユニフォーム、正装。
周りに溶け込まなくては、同じようにしなくては、
目立たないように、嫌われないように、
仲間外れにされないように。
右向け右、前倣えこそが根底に横たわる生活の中、
しかし君だけはみんなと何処か違った、
その幼さが、僕には救いだったのだ。
どうか、君だけは大人にならないでくれ。
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月曜日 蹴飛ばしたら ゴミ箱にも嫌われて
転がって潮風に錆びた
息苦しいのは ここが生きる場所ではないから
僕等 地球外生命かもね
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窮屈な月曜日、嫌になってゴミ箱を蹴飛ばした。
無残にも中身が飛び散る。
お前がやったんだから自分で片付けろと、睨みつけるように転がるゴミ箱。
いつしか潮風に錆びていたようだ。
息苦しいのは、僕らにとってここが生きる場所ではないからかもしれない。
まるで地球外生命体みたいだ。
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好きな事好きっていうの
こんなに難しかったっけ
それならば僕は息を 止めて潜るよ
君の胸の 内の深さには遠く 遠く
及ばないとしても
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周りの目を気にして、好きなことも好きって言いにくくなってしまった。
昔はそんなこと、なかったのにな。
こんな些細なことですら言えない窮屈な世界なら、
僕は息を止めて海の底にでも潜ろう。
君の胸の内の深さには、遠く及ばないとしても。
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駅ビルの コンコース待ちぼうけ
ソフトクリーム溶けた 全音符のクラクション
近寄る度 多くを知る 知らないことは多いと
河川から望む学区外
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駅ビルのコンコースで君と待ち合わせ。
先について時間を持て余していたら、いつの間にかソフトクリームが溶け出していた。
遠くで聞こえたクラクションはやけに長く聞こえて耳障りだ。
君に近づけば近づくほど、
君の存在が遠のくように感じるのと同じように、
新しいことを知れば知るほど、
知らないことは増えていく。
この河川の向こうの学区外には何があるんだろう。
好奇心で、いっぱいだったあの頃。
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明日の話はとにかく嫌い 将来の話はもっと嫌い
儚いから綺麗とか言った 花火が永遠なら良かった
見えてるものを見えないふり 知ってることを知らないふり
いつの間にそんなに 大人びて笑うようになったのさ
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明日の話はとにかく嫌いだった。
明日に期待ができないから。
将来の話はもっと嫌いだった。
夢もない幼い自分と大人になって夢を持つ周りを比べてしまうから。
儚いからこそ、花火は綺麗だと言ったが、
それがいつまでも続いてほしかった。
また窮屈な毎日が始まる、特別な日はすぐに終わってしまうからこそ特別だった。
見えていても、知っていても、
周りの顔を見て、つじつま合わせのために知らん顔。
いじめられている人がいても、陰口が聞こえても、無関係だと言い張るように。
愛想笑いにかき消される本当のことたち。
いつの間にみんなそんなに大人びて笑うようになったのだろう。
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月曜日 蹴飛ばしたら 川の水面で水切り
満月を真っ二つ切り裂いた
胸が苦しいのは 互いに想う事が伝わるから
僕等 超能力者かもね
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月曜日、授業をすっぽかして君と二人、川辺で水切りをした。
この窮屈の当てつけか、水面に映る満月を切り裂いて。
何処か胸が苦しいのは、口にしなくても
思っていることがお互いに伝わるから。
まるで超能力者みたいだ。
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嫌いな事嫌いって言うの
そんなに自分勝手かな
それならば僕は息を 止めて潜るよ
君の胸の 内の深さには遠く 遠く
及ばないとしても
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自分勝手だと言われるから、嫌いなことも嫌いって言いにくくなった。
周りの目を気にせずに言えたらいいのに。
こんな些細なことですら言えない窮屈な世界なら、
やはり僕は息を止めて海の底にでも潜ろうか。
君の胸の内の深さには、遠く及ばないとしても。
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普通にも当たり前にもなれなかった僕等は
せめて特別な人間になりたかった
特別な人間にもなれなかった僕等は
せめて認め合う人間が必要だった
それが君で 恐らく僕で
ゴミ箱にだって 溢れた僕等で
僕にとって君は とっくの昔に
特別になってしまったんだよ
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僕らは周りの人たちが言うような「普通」とか「当たり前」にはなれなかったようだ。
そもそも「普通」ってなんなのか。
僕にはわからない。
ならせめて「特別」な人間になって、好きなように生きていければよかった。
でも「特別」な人間にもなれなかった。
だからせめて互いの存在を認め合う人間が、僕らには必要だった。
僕にとってそれが君で、
君にとっては、おそらく、僕で、
ゴミ箱に捨てられてもあぶれてしまったような、そんな僕らで、
そう、気が付いた時には
僕にとって君は「特別」になってしまっていたんだ。
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月曜日 蹴飛ばしたら 大気圏で焼け落ちて
僕の胸に空いたクレーター
確かに似た者同士だったけれど僕等
同じ人間ではないもんな
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また今日も窮屈な月曜日がやって来る。
いつしか君との別れも訪れて、
僕の胸にぽっかり穴が空いたように空っぽな毎日だ。
確かに僕らは似た者同士だったけれど、
同じ人間ではないもんな。
いずれ違う道を歩む時がやって来る。
それは決まっていたことなのかも知れないな。
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一番怖いのはさよなら それなら約束しよう
永遠に別れはないと
永遠なんてないと 知って 誓った
それが愛や友情には 遠く及ばないとしても
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僕にとって一番怖いのはさようならだ。
僕を特別だといってくれる君がいなくなるから。
それなら約束をしよう。
永遠なんてないって僕たちはもちろん知っているけれど、
永遠に別れはない、そう誓おう。
そう言い張るだけで、君は心の中にずっといて
僕のことを特別だと言ってくれるように感じるんだ。
それが、愛や友情なんかには及ばないとしても、
そう誓うべきなんだ。
〜おしまい〜
ついでにMVも貼り付けておく。
「普通」とはなんだろう。
周りと同じであること、周りと同じ行動をすること、
でも僕たちは誰一人として同じ人間はいないし、
好きなことも、嫌いなことも、得意不得意も違う。
そう考えると、「普通」なんて物自体、存在し得ないのではないだろうか。
「特別」とはなんだろう。
周りより秀でていること、周りと違う自分だけが持っていること、
でも僕らは周りより秀でている部分も劣っている部分もあるし、
一人一人違うのだから見方によっては特別なんだ。
そう考えると、誰もが誰かにとって「特別」であれるのではないだろうか。
いずれにしても、
この窮屈な世の中は他者との関わりの中で回っている。
「普通」であれ、「特別」であれ、
それが存在する、しないの証明には
どうしても他者は必要なのである。
僕を特別だと君が言ってくれるように
君は特別だと僕は言い張ろう。
いずれ別れが来ても、僕にとって君はいつまでも特別なんだと、そう、言い張ろう。
君がいなくてもまた月曜日はやって来る。
でももう大丈夫、君が僕を特別だと言って背中を押してくれるから。
今回の考察は、
僕にとってはとっつきやすい内容だった。
それこそ普段、
誰しもが感じる違和感が題材にされているからかも知れないが、
僕らは大人になる中で、
周りを見るようになって、気を配ったり、物事を円滑に進めるための知識を得た。
反面、思うことを包み隠さないこととか、
言いたいことを言う素直さが失われつつあるのかも知れない。
時には歯を食いしばって、涙をこらえてまで我慢することもあるだろう。
それを、良い、悪い、と言うのは人の勝手だが、
そうやって社会の中で生きていくためには
僕が君を、君が僕を特別だと言う。
せめてそれだけでも素直に言えたら、もう少し頑張れるような気がするもんだ。
どこまでも調子がいいが、
僕は、きっとそういう人間なんだと思う。
ちなみにこの楽曲は配信限定の曲で、対の詩は現在確認できていない。
もしアルバムなどで再録されて対の詩が歌詞カードなどに記載されていたら再度追記しようと思う。
よし、区切りがいいから、今日はここまで。
それではまた明日。
次はどの曲を考察しよう。
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