悲しみ一つも残さないで ー考察ー
今日はフルアルバム「地方都市のメメント・モリ」から
「悲しみ一つも残さないで」という楽曲を考察する。
ここ最近リリースされた楽曲の中でも個人的にとりわけ好きな曲である。
人生において、出会いと別れはつきものだが、
この曲は別れの場面、
そして送り出す側からの目線で書かれた楽曲である。
歌謡曲のような、どこか懐かしさを感じるメロディライン。
それに乗せられる、情景と感情。
旅立つ相手にどんな言葉を、自分だったら掛けるのだろうか。
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汽笛が鳴れば素っ気なく もうこれまでと旅ゆく人 泣けば切ない、笑えば尚更
だから悲しみ一つも残さないで
家族と別れ、友と離れ どこで暮らしても僕は僕で そういう考えはやめておけ
生きた轍を君と呼べ
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汽笛の音は、旅立ちの合図。
時間は待ってはくれない。
素っ気なく汽車に乗り込む君の後ろ姿を見送る。
泣いてしまえば切ないが、取り繕って笑えば尚更切ない。
だから君は悲しみを一つも残さないで行ってくれ。
家族とも、友達とも離れて、でも結局どこで暮らしても僕は僕のまま変われなくて、
なんていう考えはやめておけ。
この旅路こそ、選択こそ、足跡こそを君自身だと呼ぶべきだ。
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ああ大嫌い 悲しい事は なのに僕らさよならばかり
どこにも行かないで ずっとこの町で暮らして
歳をとって死ぬまで 笑って生きてたいよ
できればこっそり出てってくれ 悲しみ一つも残さないで
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悲しいことは大嫌いだ。
なのに、僕らはいつも決まったようにさようならばかりを繰り返す。
本当はどこにも行かないで欲しい。
ずっとこの町で暮らして、一緒に歳をとって、
最後の時まで笑って生きていたいんだ。
でも、君が行くっていうのなら、仕方ない。
悲しい思いはしたくないから、できればこっそりと出て行ってくれ。
悲しみ一つも残していくな。
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旅ゆく人は荷物も少なく 望郷、忘れ難き思い出も 始発駅に全部置いてくるから
青森駅は感傷だらけ
夢は夢だとうそぶいた 叶えてこその夢だと誰かが言った 夢を終えた奴らに耳を貸すな
君の夢なら 君が夢見ろ
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旅行く人は荷物も少ない。
それは望郷も、そこで過ごした思い出も、全部始発駅においていくから。
だから、青森駅は感傷だらけなんだ。
夢は夢のままなんだ、とか、叶えてこそ夢なんだ、とか
よく聞く言葉だが、どんな形であれ夢を終えた人々の言葉に耳を貸す必要はない。
君の夢は、君が見るべきだ。
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ああ大嫌い 苦しい事は なのに僕ら戦ってばかり
どこにも行かないで ずっとこの町で暮らして
歳をとって死ぬまで 笑って生きてたいよ
できればこっそり出てってくれ 悲しみ一つも残さないで
ーーーーー
苦しいことは大嫌いだ。
なのに、僕らは日々、社会の中で苦闘している。
本当はどこにも行かないで欲しい。
ずっとこの町で暮らして、一緒に歳をとって、
最後の時まで笑って生きていたいんだ。
でも、君が行くっていうのなら、仕方ない。
苦しい思いはして欲しくないから、できればこっそりと出て行ってくれ。
悲しみ一つも残していくな。
ーーーーー
戦う人よ傷を癒せ 道半ばで倒れる事なかれ 「命など惜しくない」と言うが
君を惜しむ人がここにいる
先は長いが終わりは早い 焦りはじめてからが始まりだ その先の事は僕も知らない
言いたい事はこれで全部
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旅に出てまで夢を追い、戦う人よ。
時には傷を癒しに戻って来い。
夢の道半ばで倒れないように。
「命なんて惜しくない」と君はいうが、
君を惜しむ人がここにいるんだ。
夢までの道のりは長い。
でも終わってしまったらあっという間だ。
どんなだって君のスタートラインだということを忘れるな。
焦り始めた時こそ、ここが始まりだと言い聞かせろ。
でもその先どうするかは君次第。
僕は知らない。
言いたいことはこれで全部。
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ああ大嫌い 寂しい事は なのに僕ら旅立ってばかり
どこにも行かないで ずっとこの町で暮らして
歳をとって死ぬまで 笑って生きてたいよ
汽笛が鳴るから僕も行くよ 悲しみ一つも残さないで
悲しみ一つも残さないで
ーーーーー
寂しいことは大嫌いだ。
なのに、僕らはいつも旅立ってばかり。
本当はどこにも行かないで欲しい。
ずっとこの町で暮らして、一緒に歳をとって、
最後の時まで笑って生きていたいんだ。
でも、君が行くっていうのなら、仕方ない。
汽笛が鳴ったから、僕も行くことにするよ、自分の夢に向かって。
君に悲しみ一つも残してはいかない。
〜おしまい〜
できることなら、別れは経験したくないものだ。
だって別れは、悲しいし、寂しいし、先のことを考えるれば苦しいし。
君と出会った時の期待と、
過ごしてきた日々で得られた喜びも
君は置いていってしまうんだろう。
なら僕も同じように、ここに追いていこう。
悲しみ一つも残さないで。
対の詩も見ていこう。
ーーーーー
とうとう別れの時が来た
涙はさよならの代わりじゃなく
言い尽くせなかった、言葉の歯がゆさの残滓
綺麗ごとなら幾らでも言える
恨み言だって幾らでも言える
自分の都合で出てくなら
悲しみ一つだって置いてくな
ーーーーー
汽笛が鳴る。
とうとう君との別れがやってきた。
流れる涙はさようならの代わりなんかじゃない。
伝えようとしても、伝えきれない、言葉の歯痒さの先に残ったものだ。
綺麗事も、恨み言もいくらだって言える。
伝えきれないくらいだ。
自分の都合で出て行くなら、
悲しみ一つだって追いて行くんじゃない。
ーーーーー
世間は厳しい、未来は暗い
夢は大抵叶わない それでも行くっていうんだから
君も大概、馬鹿野郎だ
自分の都合で出てくなら
流させた涙の責任は背負っておけ
それを重いと感じる度に
それを煩わしいと思う毎に
その旅路の身勝手さを恨め
そして、成就を願う人々を思い出せ
ーーーーー
社会は厳しい。
未来も暗ければ、夢も叶わない。
なんていうのは君に行って欲しくないが故に出た泣き事かもしれないが、
それでも行くっていうんだから
君は僕の手では救いようもないくらいの馬鹿野郎だ。
自分の都合で出て行くなら、
流させた涙の責任を背負っていけ。
旅路の中で傷ついた時、
この責任を
重い、とか、煩わしい、とか
そう思うのなら、自分の選択の身勝手さを恨め。
そして、その選択を応援してくれた人々の顔を思い出せ。
きっとまた前に進む力になる。
君の夢が叶うことを願ってる。
〜おしまい〜
旅立って欲しくない人に、
僕だったらどんな言葉をかけるだろう。
なんで行くんだよ、と罵るのか。
それとも、夢が叶うといいね、なんて綺麗事をいうのだろうか。
いずれにせよ、そこに悲しみが生まれることは目に見えている。
その悲しみのやり場は、もうそこに、その時その場所においていくべきなんだろう。
悲しみに縛られると自分が前に進めないもんな。
自分が前を向くことで、相手も前を向かせる。
自分とは違う、互いの選択に敬意を持って応援しあえる、
そんな関係って、素敵かもしれない。
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